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「将軍様、あなたのために映画を撮ります」北朝鮮を描いたドキュメンタリーの数々

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「将軍様、あなたのために映画を撮ります」北朝鮮に拉致された韓国の映画監督と女優が辿った運命を捉えたドキュメンタリーが2016年9月にユーロスペース他全国ミニシアターで公開される。

 

1978年に拉致され、映画マニアで知られていた故・金正日のもとで映画制作を強いられた映画監督シン・サンオクと映画女優チェ・ウニの数奇な運命を辿る。

 

この映画では、拉致された1978年から亡命に成功する1986年までの北朝鮮での生活を、秘密裏に録音された金正日の肉声を交えて描いている。

 

”甲フィルム”映画撮影所総長を任命され、北朝鮮での映画制作を強いられたシン・サンオク監督だが、次第に北朝鮮での映画制作に没頭していき、その製作本数は17本に上る。

 

北朝鮮というとミサイルや拉致問題などの深刻な問題が山積みで「無闇に触れてはいけない」というタブーの側面ばかりが目立ってしまうけど、それらは北朝鮮での出来事のほんの一部でしかない。

 

メディアが報じる北朝鮮が北朝鮮の全てであるはずもなく、色々な側面を持つ北朝鮮を様々な角度から見てみるのも面白いし、貴重な情報にもなる。

 

そんな想いもあって、ここ十年間で公開された北朝鮮関連のドキュメンタリーをまとめてみました。

 

「北朝鮮強制収容所に生まれて」韓国に亡命した青年が独白する、北朝鮮強制収容所での過酷な生活を描いたドキュメンタリー。

 

北朝鮮での政治犯をメインに収容する「北朝鮮強制収容所」。

 

ここで政治犯として収容されている両親に生を受け、生まれながらの政治犯として強制収容所での生活を強いられてきた青年シン・ドンヒョク。

 

2005年に見事脱獄を果たし、現在は韓国に住むシンさんへのインタビューと、その証言をもとに収容所内の様子をアニメーションで再現したドキュメンタリー映画。

 

シンさんの両親は幼少期に処刑され、シンさん自身の身体も拷問のせいで痛々しく変形してしまっていた。

 

「この自分の身体を見るたびに、怒りが込み上げてくるんです」

 

そのように語るシンさんは、生まれも育ちも強制収容所。

 

最も強烈で印象に残っているのはシンさんが語る、収容所内の小学校での出来事。

 

これを聞いたとき、思わず歯をくいしばって画面から目を背けてしまった。

 

シンさんが小学校1年生くらいのときのこと、同じクラスの女の子が忘れ物かなにかをしてしまい、先生に叱られた。ここまではどこの国でもそれほど珍しいことではないかもしれない。

 

でも、そのとき教師が定規で女の子の頭を強く叩いた。単に叩いたのではなく、一日中強く叩き続けたそうだ。

 

泣き叫ぶことも助けを求めることも許されず、女の子はすすり泣きながらひたすら耐えていた。

 

そして翌日からその女の子は学校には来なくなった。

 

頭を叩かれ続けたその日の夜、小さな女の子は自宅で亡くなったという。

 

これを聞いた当時のシンさんはこう思ったという。

 

「亡くなったと聞いたとき、当時の僕は「死んで当然だ。あれだけのことをしたんだから」と思いました。収容所のなかではそんなこと当たり前のように起こるんです。」

 

恐ろしいのは、そのような光景が日常化すると、感情が表に出てこなくなるということだった。

 

シンさんは自分の母親が処刑された時も涙は出てこなかったという。

 

 

 

「シネマパラダイス・ピョンヤン 」コミカルに描く北朝鮮

 こちらもドキュメンタリーだが、先に紹介した「北朝鮮強制収容所に生まれて」とは正反対の内容。

 

こちらは北朝鮮のなかでもトップクラスの特権階級に属する人たちの日常を描いたものだけど、報道番組で報じられる寒々しい雰囲気とは全く違っています。

 

映画俳優を目指して演劇大学へ通う若い男女の学校や家庭生活の緩い日常をコミカルに捉えたドキュメンタリー映画。

 

 

「ディア・ピョンヤン」

 監督は在日コリアン二世のヤン・ヨンヒ監督。

 

彼女の父親は朝鮮総連の幹部で、母親も在日コリアン。

 

両親には長女であるヤン・ヨンヒさんの他に3人の息子がいる。そして3人の息子たちは1970年に北朝鮮に帰国した。

 

この映画は、ヤン・ヨンヒ監督が実の父親との確執、家族との離別、再会と和解を10年間に渡って記録したセルフドキュメンタリー。

 

父親は日本ではランニングシャツ一枚にステテコ姿でぶっきらぼうで陽気な関西弁を話す普通のオヤジ。父親と母親、そしてヤン監督の間では漫才のような楽しげな会話を展開する至ってふつうの家庭。

 

しかし父親は朝鮮総連の元幹部で、祖国へ帰れば全国から100名が駆けつけるほどの大物で、「祖国への忠誠を果たす」と明言する。

 

ヤン監督はそんな父親の価値観をどうしても認めることができずにいる。

 

しかしそんな中、父親が脳梗塞で倒れてしまい・・・

 

在日コリアンの日常と葛藤を描いた作品は2006年製作でDVD化され、TSUTAYAでレンタルもできる。

 

 

以上、4作品を紹介してみましたが、想像を絶するほど過酷な状況にいる人、気楽で快適に過ごす人、拉致されたけどそれなりに生き甲斐を持って楽しく過ごす人、そして日本から祖国の想いを抱き葛藤する人と、北朝鮮と一言で言っても様々な側面を持っている。

 

そして一番忘れがちで重要なことは、そこには個性と感情を持った人たちが我々と同じように暮らしているということでもある。

 

ニュースで見る北朝鮮とは全く異なる姿を見ることで、そんな当たり前のことを感じてみた。

 

 

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