僕は学生時代、彼女や知り合った女の子とデートするときは毎回毎回、ほぼ例にもれず毎回映画を観に行っていました。
もちろん映画が好きというのも理由の一つでしたが、一番大きな理由は
「少なくとも2時間は女の子としゃべらなくて良いから」
女子と向き合って話をするのが怖かったのです。
そんな理由で毎回毎回、修行のように映画館へ通いました。
映画の前後にはコーヒーを飲んだりゴハンを食べたりするんだけど、そもそも映画へ行く理由が「女子としゃべるのが怖い」のだからして、当然のごとく会話が盛り上がることはなかった。
でも、たったの一度。たった一度だけ大いに盛り上がったことがあった。
それは忘れもしない1995年の春。映画「パルプフィクション」を観る時に、映画館の入り口にできた列に並んで開場を待っていたとき。
会話の経緯までは憶えていないけど、当時の史上最低の悪趣味映画の話がお互いにツボにハマった時でした。
やっぱり会話が盛り上がるときって、当たり障りのない無難な話題ではなく、少しリスキーな話題であることの方が多い。
波長が合わないと相手が「引いてしまう」リスクはあるけれど、波長が合ったときの何とも言えない一体感。
ちょっと怖いけれど、ちょっとリスクはあるけれど一歩だけ踏み込んでみる。
こんな姿勢は、男女関係を発展させるうえでも大事なんだろうなと感じた出来事でした。
そして、これをカメラの前で強制的にやらせるというショートムービーが面白かったので下にリンクを。
初対面の人同士でキスをしてもらう様子を撮影したショートムービーです。
見ず知らずの初対面同士の10組20人にカメラの前でキスをしてもらう。
ただそれだけなのに、この気恥ずかしさと緊張感。
「はじめまして」
「どうも・・・」
「え・・?!もう始まってるんすか?!」
お互いに戸惑いながら、年齢もバラバラの組み合わせでキスをしていく瞬間。
初対面だし互いに気を使って遠慮がちな空気で、互いに目すら合わせるのも気恥ずかしい。そんな中で思い切ってキスに踏み切る瞬間の、清水の舞台から飛び降りるような感覚。
この変貌っぷりになんとも言い難いドキドキ感を感じます。
そして終わった後にまた全員が見せる気恥ずかしい表情。
でもこの時にはお互いに見る目が完全に変わっています。
お互いに指先が触れ合う程度に手をつないでいる人や、照れて大笑いする人、中には相思相愛で付き合い始めたカップルのように振る舞う人も。
このドキドキはどうしたらいいんだ・・・