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封印されたタブーな作品たち

eye

ニュースまとめアプリでこんな記事を見つけた。

闇に葬られた封印作品

資金繰りの行き詰まりや個人の不祥事によって放映が出来なくなったり自粛することで、日の目を見ずに封印された作品の話を取り上げています。

しかし上のリンクで語られる内容は、あくまで出演者やスポンサーにまつわる事情であり、作品の内容とは何ら関係がない。つまるところ他人の不幸を嘲笑うワイドショーネタと何ら変わりはなく、ハッキリ言ってしまうと薄っぺらで品がない印象が拭えない。妙な好奇心と野次馬根性が刺激されるだけで面白くない。

でもワタシは「封印作品」「タブー作品」「闇作品」というキーワードが三度の飯よりも好きです。

なのでここでは、

「内容が過激過ぎて封印されてしまった」もしくは「内容そのものが、ある団体・組織にとって不都合が生じる内容のため封印されてしまった」

と思われる「ワケありタブー&封印作品」を紹介したい。

「ワケありタブー&封印作品」って聞いただけでもゾクゾクしてきます。今回は凄惨&過激過ぎてタブーになった作品から、とても淡々として静かだけど「内容」に問題アリとされてタブーとされた作品まで。

まずは日本映画。

封印その1「原子力戦争」

原田芳雄主演、田原総一朗原作の1978年公開のATG(アート・シアター・ギルド)日本映画。

タイトルが凄いが内容も凄かったです。

舞台は東北の港町。原子力発電所近くの海で若い男女の遺体が打ち上げられる。

警察は男女の心中自殺とみて、事件性はないものとして処理するが、死んだ女性の元恋人であるチンピラ男性(原田芳雄)が不審に思い、独自に事件の調査に乗り出す。

現地で聞き込み調査を重ねるチンピラは、徐々に事実を突き止めるが、

どうやら死んだ男性は原子力発電所内の職員で、原発内で何らかの事故が発生し、そのことを死亡する直前に報告しようとしていたらしい。

チンピラは、原発内での事故の発覚を恐れた何者かが、口封じの為に二人を殺害したのだと睨む。

そしてさらなる事実の追求に乗り出すため、原子力発電所内の関係者に近づこうとするチンピラだが、チンピラの身の回りには不穏で不可解な事件が次々と発生。

その背後には原子力を推進しようとする強大な組織の姿があった・・・

という内容。

1978年に公開されソフト化もされたが、その後すぐに絶版になり約30年間以上封印されていた作品。

基本的にこの映画はフィクションだけど、途中で突然短いドキュメンタリーに切り替わる不思議なシーンがある。

チンピラ演じる原田芳雄が原子力発電所の関係者に近付こうと、発電所の入り口をうろつくシーン。

原発内に侵入しようとする原田芳雄と、それを後ろから追うカメラ。そこへ原発の複数の警備員が駆け寄り

「やめて下さい!ここは立入禁止ですよ!」

「撮影は禁止です!これは法律違反ですよ!」

 と本気で抑止するシーンは無許可のゲリラ撮影で、発電所も警備員も本物のノンフィクション。

そしてその無許可ゲリラ撮影を行った撮影現場は、福島第一原発だった。

 原子力を推進しながら十分な情報を開示しようとしない国や企業への不信感を描きたかったのかは不明だけど、何十年も先に起きる事故・事件を予言するかのようなシーンは強烈だった。

そして3.11が発生したその年に、30年以上の封印がこっそりと解かれた形で、この映画のソフトが再販されたことも妙に印象深い。

内容が強烈なだけでなく、田原総一朗原作、スタッフは黒木和雄監督、出演者も風吹ジュン、山口小百子など豪華な俳優も出演しているので是非。

現在はTSUTAYAなどでレンタルも可能です。

 

 

封印その2「チチカット・フォーリーズ」

 ドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマンによる記念すべきデビュー作品。伝説であると同時に政治的に封印された作品でもある。

この映画は、精神異常犯罪者を収容するマサチューセッツ州立矯正院での日常を描いた伝説のドキュメンタリー。

ワイズマンは、撮影、編集をすべて一人でこなし、ナレーション、挿入歌、テロップはおろかインタビューすら一切出さないことでも有名なドキュメンタリー作家である。

ここで描かれる患者たちの多くが、ごくまともで個性的な人たちに見えることが妙に印象に残る。

院内で一人で政治演説を行う老人や、アメリカの政治批判を延々とする中年男性、「チャイナタウン」を楽しそうに歌う老人、「私は論理的で正常な人間だ」と院内の医者たちに議論をふっかける若者も、個性的ではあるが聡明で、それだけ見ると異常者には見えない。

そして矯正院の方はというと、ずさんな業務管理と雑な仕事でまともに機能していないように見える。

そんな姿を淡々と描き、映画の終盤は矯正院内の患者たちによる学芸会。

「楽しい時間も終わり。そろそろお別れの時間だね」

個性的な患者たちの合唱とともに映画は幕を閉じる。

そして画面が暗転した後の最後の最後に、たった一つだけ奇妙なテロップが流れる。

 

「この映画を撮影した後、マサチューセッツ州立矯正院はこの映画を公開する条件を提示してきた。その条件とは以下である。

”「この映画の撮影の後、矯正院はシステムと環境の改善を行った」という説明文を映画内に入れること”

要は、異常に見えない患者たちの姿と、矯正院のずさんな管理体制が明るみに出ることを恐れた矯正院が、それを誤魔化すための文章を入れない限り、公開することを認めないと強制してきたということになる。

ワイズマンはマサチューセッツ州立矯正院の申し出に従い説明文を入れたが、「矯正院が強引な申し入れをしてきたことが観ている視聴者にわかる形で」映画の最後に入れたのだった。

 結局その後この映画は公開禁止処分を受け、制作された1967年から、公開禁止の判決が覆る1991年まで公開は禁止され、封印される形となった(公開禁止の表向きの理由として「”州立の施設で裸の男性たちが映画に出てくる”という一通の抗議文書が端を発してマスコミが騒ぎだしたので、裁判所は公開禁止の判決を出した」とされているが、筆者自身は怪しいと思っている。信じるか信じないかは、あなたしだい・・・)

ちなみに現在もこの映画はソフト化されていないのでDVDやネットなどで観ることはできない。

 

封印その3「ありふれた事件」

「スナッフビデオ」というジャンルをご存知だろうか?世間一般では映画には「恋愛」「アクション」「ホラー」などのジャンル分けがされているけど、タブーとされて表世間には絶対に姿を表さない分野があるらしい。

それが「スナッフ」という分野で、ホンモノの殺人を記録した映画、ビデオのこと。

もちろん、そんな作品が表の世界に流通する事はなく、あくまで「闇」の世界の話。しかし、そんな闇の違法ソフトがふとしたことから表の市場に流出してしまうことがあるらしい。

中古のエロビデオ屋やバザーで売られているビデオの中にタイトルのラベルが貼り付けられていないものを見つけて、興味本位で手に入れて家で観てみると・・・

オープニングも何もなく、人を殺すシーンが次々に流れ、ストーリー性も何も無い。出演者や監督、タイトルを示すテロップも無く、出演者の顔は隠されている。そんなビデオを見つけてしまったら、それは「スナッフビデオ」だと思って間違いない。

そう言えば〇〇の友達の先輩が見ちゃったらしいぜ・・・

そんな都市伝説がまことしやかに語られていた1990年代前半。

高校生だったボクは何も知らずにレンタルビデオ店で借りてきたビデオを再生してみると・・・

殺人強盗で生計を立てる男を追ったドキュメンタリーという体裁で、次々と進行するショッキングな殺人シーンを目の当たりにして

「ヤバい・・・スナッフを見つけちまった・・・」

本気で警察に通報しようかどうか迷ってしまった名作。あり得ないほど残忍で、幼い子供から老人女性まで狙いを定めては次々と殺していく。

ドキュメンタリータッチで進行するが、実際にはフェイクのウソドキュメンタリー(そういう作品をモキュメンタリーと言ったりします)。

狂気的なシーンの連続であるのに妙にリアルで引き込まれるのがとても印象的で、個人的にも正々堂々の名作中の名作だと思う。

なぜこんなに引き込まれるのかと言うと、ウソドキュメンタリー(モキュメンタリー)の主人公である強盗殺人者のベン(ブノワ・ボールブールド)の人物描写がやたらと繊細で人間的かつリアルだから。

狂気の殺人者ではあるけれど家族を愛し、芸術を語る感性を持ち、正義感もある。饒舌に冗談を言い放っては笑う陽気な男だが、気分屋で気性が荒い。何よりもキレると恐ろしい。

中学生の頃にこういう「怖い先輩」いたもの。

明るく陽気だけど、気性が荒くてキレると手がつけられない。人なつこくて無邪気だけど、いつキレるか予測がつかないから、できれば会いたくないし関わりたくない。本当は皆避けたいけど、そんなことがバレたら大変。でも皆から避けられているなんてことは、本人は夢にも思ってないし、そんなことを気づかれたら本気でヤバい。

この作品は非日常的で異常な世界を描いているけど、そこには意外にも身近で人間味溢れたありふれた日常的な恐怖がある。

タイトルの「ありふれた事件」にもそんな意味が込められている(と思う)。

この作品は本国ベルギーで公開されるやいなや、ハリウッド映画を押しのけて空前の大ヒット。

そして、そのあまりなリアルさと残忍さから「これはホンモノの殺人を記録したスナッフだ」というデマまで流れ、更に劇場への客足が殺到したという伝説もあるらしい。

その狂気じみた凄惨な内容から、スウェーデンでは上映禁止、アイルランドではビデオ販売が禁止された。

余談だけど、その何年も後の歴史的ヒットを記録したモキュメンタリーの「ブレアウィッチ・プロジェクト」はこの作品から大きな影響を受けていたと言われる。

このポスターヤバくない?!メチャクチャカッコいい・・・ちなみにポスターに写る主人公が主演、監督を兼ねた超低予算作品です。

 

arihureta

 

以下は2014年に渋谷のイメージフォーラムでリバイバル上映されたときの予告編↓ やっぱりカッコいい・・・(笑)

 

 

以上、何らかの理由で封印されたと思しき経歴を持つ作品、「原子力戦争」「ありふれた事件」は普通にDVDでレンタルすることも可能なので、巷で話題の作品を観るよりもずっと刺激的で面白いと思います。「チチカット・フォーリーズ」は観れないけど・・・

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